令和5年度年次経済財政報告(経済財政白書)
2023年8月29日、内閣府は令和5年度年次経済財政報告(経済財政白書)を公表しました。本報告では物価や賃金の動きに着目し、今後の日本経済の成長を目指していくためにどのような政策を行い、経済環境を整えていく必要があるのかを議論しています。今回は、その中から第3章より一部抜粋してご紹介します。
日本の労働生産性と無形資産の動向
- 労働生産性の上昇率は1990年代後半以降低下しており、なかでも資本装備率による押上げ寄与が徐々に縮小している。また、民間企業の資本装備率の伸び悩みが顕著であるため、今後、設備投資を促進し資本装備率を高めていくことで生産性の上昇余地が大きくなると考えられる。
- 無形資産の寄与は2010年代にはほぼゼロになっている。無形資産投資の増加は、資本装備率を上昇させるだけではなく、TFPも同時に上昇させることが期待できるため労働生産性上昇への大きなドライバーとなる可能性がある。
日本における労働生産性の推移と内訳
※TFP…全要素生産性(Total Factor Productivity)の略。労働や機械設備、原材料投入など全ての要素を考慮した生産性指標。
備考:
1.EU KLEMSにより作成。
2.労働生産性(折れ線)は成長率の平均値。
無形資産を増加させていくことで、生産性の向上が期待できる
- 無形資産は、情報化資産、革新的資産、経済的競争能力の3項目に大別することができる。日本は、研究開発などの革新的資産への投資が高く、人的資本形成の取組みなど経済的競争能力への投資は顕著に低いという特徴がある。
- 無形資産の種別にTFPへの影響を推計すると、経済的競争能力が増加した時の影響が0.66と特に高い値となった。こうした結果からも、人への投資や研究開発投資が重要であることが確認できる。
無形資産の分類
情報化資産 | 受注ソフトウェア |
---|---|
パッケージ・ソフトウェア | |
自社開発ソフトウェア | |
データベース | |
革新的資産 | 研究開発(R&D)、他の製品開発 |
著作権及びライセンス | |
デザイン(機械設計、建築設計) | |
資源開発権 | |
経済的競争能力 | ブランド資産(広告、市場調査) |
企業特殊的な人的資本形成の取組 (社員教育・研修の実施、実施に必要な人材導入) |
|
組織改編 (コンサルタントサービスの導入、経営管理にかかる取組) |
資料:
Corrado, Hulten, Sichel (2005)に基づき作成。
無形資産の変化がTFPに与える影響
備考:
1.経済産業研究所「JIPデータベース」により作成。
2.JIPデータベースから産業別のパネルデータを構築し、それぞれの無形資産ストックが、TFPに与える影響を固定効果モデルで推計した。推計期間は、1995年~2020年。
3.***は1%、**は5%水準で有意であることを示す。情報化資産は有意な結果とならなかった。
出典:「令和5年度 年次経済財政報告」(内閣府)を加工して作成
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