DX白書2021
2021年10月11日、IPA(情報処理推進機構)は、「DX白書2021」を発刊しました。本白書は、今までIT人材に関する調査を取りまとめた「IT人材白書」や、AIに関する技術動向や事例を掲載した「AI白書」を刊行してきたIPAがそれらの刊行物を統合し、DXの推進に必要となる「戦略」「人材」「技術」に関して取りまとめたものです。
今回は、その中から第4部第1章、第2章より一部抜粋してご紹介いたします。
ITシステムに求められる機能とその達成度
- DXを推進するためには、あらゆるビジネスニーズに対応できるITシステムが必要となる。
- 企業が環境変化への対応に向けてデータ分析を行ったり、新しいアプリケーションを追加したり、新サービスを短期間で立ち上げたりするために、ITシステムには「スピード・アジリティ」や「データ利活用」を実現する機能が求められる。
- 下図は、前述のビジネスニーズに対応するためにITシステムに求められる機能について、各社の「達成度」を尋ねたものである。「達成している」「まあまあ達成している」の合計値で日本企業と米国企業を比べてみると、米国は求められる機能を着実に実現しているのに対し、日本企業は思うようにITシステムの機能実現を進められていないことがうかがえる。
<ビジネスニーズに対応するためにITシステムに求められる機能(達成度)>
データ利活用技術
- ITの技術革新により、従来のビジネスモデルを変革する新規参入者が続々と登場している。
- そういった激しい環境変化の中、既存業務の効率化だけでは企業の競争力を維持するのは難しく、新たな価値創造に企業の競争力の源泉は移りつつある。
- 市場や消費者の変化についていき競争力を維持するため、企業のデータの活用範囲も、自社の経営・リスク管理や業務改善から、業務・商品・サービスの高度化やデータから新しい価値を創造することへ拡大してきている。
データの活用範囲拡大
経営・リスク管理
過去の情報を収集・可視化し、何が起きたのかを把握
経営層の意思決定
(経営ダッシュボード)等
業務改善
データを分析し、現状がなぜ生じたのかという原因を分析
販売データを活用した
営業効率向上等
業務・商品・サービスの高度化
収集したデータから、何が起きるのかという未来の事象を予測
顧客行動履歴活用
等
新たな価値創造
精度の高い分析から、何をすべきなのかという次のアクションを示す
データ自体の販売
▶ MaaS等の新規ビジネス等
事例72
経営データ活用支援事例
経営ダッシュボードで経営戦略立案に必要なデータを「見える化」。
データにもとづくスピーディーな経営判断から業務改善までご支援
クライアント企業プロフィール
- 事業内容
- IT関連
- 従業員数
- 約1,500人
背景
- 労働集約的なビジネスモデルとなっており成長率が鈍化していたが、解決のための具体的な戦略を見つけ出せずにいた。
- 経営判断に必要なデータが分散しており定常的に分析する指標も決まっていないため、迅速な意思決定が困難な状況だった。
支援内容
- クライアント社内の経営データを収集・統合し、中期経営計画実現のために重点的に計測・管理する「経営指標」の策定をご支援。
- 経営指標の達成状況を定常的に確認できる「経営ダッシュボード」を作成し、月次決算データの早期「見える化」を実現。
- データに基づく分析・効果測定をスピーディーに行うことで、改善活動の進捗状況をリアルタイムで把握できる環境を構築。経営指標の定常分析と業務改善のサイクルを回す運用を設計。
<データの統合・「見える化」から管理指標の策定、改善活動の運用までトータルでご支援>
データ収集・統合
データの見える化・分析
→重点管理指標の策定
経営ダッシュボードを作成し、常にモニタリング
→改善状況の進捗を把握
成果
- 管理指標として「社員1名あたりの生産性・付加価値の向上」を目指した仕組みの構築により、過去最高の売上高成長率を達成。
- 営業部門・サービス提供部門に対し、管理指標の明確化・情報共有を徹底した結果、現場のマネジメント力・課題解決力が向上。